報告(高齢社会をよくする女性の会会報から転載しています)

9月10日
                                               (敬称は略させていただいています)
開会セレモニー
平和の祈り・広島から 広島合唱団 合唱
松尾聡子 独唱
開会宣言 樋口恵子 理事長・評論家
春日キスヨ 実行委員長・安田女子大学教授
馬庭恭子 実行委員長・地域専門看護師/広島市議会議員
ご挨拶 藤田雄山 広島県知事
秋葉忠利 広島市長
森瀧春子 核兵器廃絶をすすめるヒロシマの会
記念講演  いつか、ひとり
市原悦子 女優

 この大会のテーマ、そして、私の話の題の「いつか ひとり・・」。どのことばも私にぴったり。中でも平和はことさら願っているものです。戦後の食糧難時代は、少しのものを、みんなで分け合って食べ、上手に飢えをしのぎました。週一回一家六人にお風呂を使わせてくれたお百姓さんなどなど、感謝の気持ちが胸にこびりついています。娯楽といえば、ラジオの歌。莚一枚敷いただけの「劇場」で歌って踊ってました。何の欲もない、望みも高くない、計画もあまり立たない、食べられればいい、友だちも少なくあればいい。そうしてこの年になりました(笑)。

 「家政婦は見た」の石崎秋子さんはほんとに、いとおしい。貯金もなく、夫もなく、子どももなく、色気もなく・・もはや(笑)。それでも自分の汗を流して働いて、掃除、洗濯、料理をして日当を貰って自分の力で生きていて、生きる原点を見る思いです。心配なのは、もしも働けなくなったらどうするんだろう・・・これは私の問題とダブってきます。

 訪問介護の役をやって思ったのは、「来てー」と言ったらすぐ来てくれる人がいること、「来てー」と言われたらすぐ行ってあげることのできる自分でいること。死んでもいい、どうなってもいいけど、その自分の事態を見てくれる人が友だちに欲しいし、私もそういう友だちになりたいって、強く感じました。

(会場からの質問に答えて)私は、舞台の、今を生きるっていう緊張感が好きなんです。だから、どんなに体が弱っても、舞台は続けていきたいです。

(会場からの質問に答えて)自分を出せて、楽で、自由になれることが、その人なりの魅力や健康を作っていくことになるのではないでしょうか。

最後にあまんきみこさんの「ちいちゃんのかげおくり」の朗読をされましたが、とても胸をうつ素晴らしいものでした。
(高井吉支子)

特別講演 介護保険改正
山崎史郎 厚生労働省

 介護保険制度も5年目をむかえ、高齢者を支える仕組みとして定着してきたが、介護認定者も増加し、大きな見なおしをすることとなった。今回の改定の柱として

 1「予防システムへの転換」(介護予防)
 2「施設給付の見なおし」(居住費用・食費の負担)
 3「新たなサービス体系の確立」(地域包括支援センター創立、医療と介護の連携強化)
 4「サービスの質の向上への取り組み」(情報開示、ケアマネージメント見直し)
 5「負担のあり方・制度の見直し」6「被保険者・受給者の範囲」等大幅に制度運営について改正していきたい。

 2015年には団塊世代の高齢化が始まり、ひとり暮らし世帯、認知症の発症も増加していく。介護を必要としない高齢者であるための対策として、予防介護を重点にすえ、認知症のケア対策も確立して行く。認知症のケアは「尊厳の保持」が基本で、総合的な支援対策として、まず、認知症を知り、早期発見のサポート体制をつくり、質の高いケアが提供されるようはかる。高齢者虐待防止にも留意し、権利擁護のシステムも重要となる。    
   
 地域ケア体制として、一人暮し世帯の在宅生活が継続できるよう「夜間・緊急の対応」「高齢期の住環境の整備」などの基盤づくりをし、医療ニーズ等ある重度者への対応では、医療型多機能サービスを提供できるよう、介護と医療の連携で包括的なケアを目指していく。多様な介護サービスのなかで、その利用には賢い消費者としての視点が必要である。
膨大な資料をもとに、介護保険の改正点を述べられたが、これからの介護保険制度が持続可能な制度としてより成熟していくことを望みたい (手島 喜久子)

痛快トーク 超高齢社会を拓く
上野千鶴子 東京大学教授
樋口恵子 本会理事長・評論家
春日キスヨ 安田女子大教授

 3人それぞれの個性を縦糸に本音を横糸に紡がれ、語られたテーマは以下のおよそ4つだった。@介護保険の課題A一人暮らし老人が安心で安全に生きるためにB高齢当事者の自己主張が社会を変えるC団塊世代の老後。私は自分の介護をめぐる「過去・現在・未来」を重ね合わせながら、3人のトークを聞いていた。

・介護保険の課題:
介護保険は、気楽に外部サービスを利用できるようになった「心のバリアフリー効果」、「医療と福祉の間のネットワーク効果」、「官と民とのパートナーシップ」家族以外の人が介護の場にはいることで、今までみえなかったものが見えるようになった「サーチライト効果」(樋口)をもたらしたのは確かだ。

 が、同時に「家庭内独居一人暮らし問題」「親が成人した子どもを扶養する家族問題」が浮上してきており、高齢者は1人で生きていく力をつける必要があるし、高齢者一人一人を対象としたシステム作りも必要だ(春日)との主張もうなずける。

 また、「身体介護と家事介護の利用料格差是正」「安価の是正」「介護への人材・思い・エネルギーはあるのに価格をふくめた評価が低い」(上野)「介護の重度化と多重化問題」「財力の格差が命の格差となる」(春日)「介護難民が発生している」(樋口)との問題点も指摘された。「介護する人が評価されないこと、仲間がいないこと、適切に自分の時間がとれないことがあると、介護者は鬼になる」(樋口)ことがないようにするにはどうしたらいいのか。

・1人暮らし:
(上野)高齢介護施設で入居理由を聞くと、家族の意思や家族の気持ちを思いやっての人がほとんど。これからは「在宅で単身(個)での看取り保障がある介護体制」を実現する必要がある。またそのためになら少々高い保険料も覚悟できる。その上で、一人の要介護者にたくさんの目と手があるようにしなければならない。

(春日)在宅で独りで死ぬ覚悟ができれば怖いものはない。周りに支えてくれる人さえいれば、それは孤独死ではない。

(樋口)孤独であることは覚悟するが、人を孤立させるのは社会の責任である。

・高齢当事者の自己主張が社会を変える:
(上野)利用者の選択権を尊重すべき。高齢者自身が決定権をもつ「当事者主権」が大事。
一番弱い人の権利擁護をどう支えるか。

・団塊の世代の老後:
(上野)気分が若く、資産があり、家族より自分が大事だと考え、仕事より遊びが好きな団塊の世代が高齢者になる時代だといえる。(春日)自分の要求を満たすためには、仲間を作っていくことが大変大切になる。

・団塊の世代の男性へのエールを:
(上野)世代間、世代内で支えあうためには、男性を共助けの中に巻き込んでいく必要がある。今までの作法や振る舞いをすてて、きてほしい。(春日)高齢男性を使いこなす場を女性が作っていく必要があるのではないか。(樋口)男性も自分のことは自分でする、また他者のケアもできる男性を育てていこう。団塊の世代は男介の世代でもある。

最後に、「戦争のない社会を作っていく覚悟をもつこと」と春日さん、「競い合っていく社会ではない、役に立たなくても生きていてほしいと言ってあげられる社会、言ってもらえる社会の実現を」という上野さんに続いて「天寿を全うすることは、平和を守っていく事と同義語です」という樋口さんの言葉で締めくくられた。

9月11日(日) 9:30〜11:30

分科会
分科会
T
寸劇シンポ:女の老い・七つの大敵 災害・犯罪から身を守る術を提案する
本会が誇る演劇集団「WABAS」の女優陣が、涙と笑いの名演技で女の老いを脅かす様々な敵に立ち向かいます。 
Co 沖藤典子 ノンフィクション作家
出演者 渥美雅子 弁護士
石田路子 宇部フロンティア大学
稲葉敬子 会社顧問
井上由美子 城西国際大学教授
小城勢津子 高齢社会をよくする女性の会大阪
田中美智子 高齢社会をよくする女性の会大阪
中尾敦子 高齢社会をよくする女性の会大阪
中村雪江 城西国際大学客員教授
松田敏子 千葉県立衛生短期大学非常勤講師
松村満美子 フリージャーナリスト
望月幸代 ミズ総合企画
谷島陽子 カウンセラー
吉武輝子 作家
女一人 地域で生きる知恵 
 前段の出し物は樋口恵子作の脚本によるもので、ノンフィクション作家の沖藤典子さん他十四人が演ずる寸劇であった。「年金では生活できない話」「独り暮らしの高齢者への乗っ取り屋」「悪徳民生委員の出現」「ひったくりや空き巣泥棒」「親の年金目あての経済的虐待」「振り込め詐欺」などなど、一人暮らしの高齢者にスポットをあてて、面白おかしく問題提起がなされた。‘‘下を向いて歩こう。転ばないように。六十年前のきのこ雲。長寿国、平和のあかし・・・’’WABAS劇団の女優たちによる熱演に、会場は、涙と笑いの渦に包まれた。

 後段は、この問題提起に対して、女優から転じたシンポジストたちが、さまざまな対策について意見を述べあった。地域の中で安心して生活を送るためには、公的制度と共にインフォーマルな地域の支えが重要であること。女一人、地域で生き抜く知恵を日頃から身につけることなど、幅広い経験や専門的立場から多くの示唆に富んだ話が伺えた。参加者は約四百名で盛況であった。(坂東素子) 

分科会
U
介護保険はどう変わったのか 利用者と働く人々からの問い直し
事業者主体からケアマネの力を生かせるシステムへ介護保険は変わることができたのか 
Co :樋口恵子 本会理事長・評論家
Pa 岩田尚志 シムラ病院副院長・医師
Pa 片山 壽 尾道市医師会会長
Pa 渡辺由美子 厚生労働省老健局
Pa 吉田由貴子 居宅介護支援事業所ピース所長
各講師の発言の内容は以下の通りです。
渡辺:介護保険の改正は、制度施行5年の経過を検証し、2015年問題を視野に入れて
「地域」がキーワードとなる。介護予防の推進や、認知症ケアの見なおし、ひとり暮らしを支える仕組みとして、小規模多機能型のサービス事業を創設する。医療と介護の間での機能分担と連携を密にする包括的なサポート体制への改革を進めている。
片山:尾道方式と言われている「サービス担当者会議」の実践例について報告。利用者に関わる主治医、訪問看護師、介護福祉士、医師、家族等で検討し、在宅へ向けてのケアマネージメントを行っている。
吉田:日常業務の煩雑、多忙さのなかでどう質の高いケアマネージメントができるかの悩みと、女性がになう現状が多いなか、報酬等の社会的保障の充実を望みたい。
岩田:医師と家族介護の両方の立場から、訪問看護サービスを利用して、病状の重い高齢者の医療と介護の問題点を報告。
「これだけは言いたい」では会場の発言者が大変多く、時間延長しての熱心な発言となった。
(國政義江)

(参考)
会場からの発言「これだけは言いたい」
◎新予防給付で、家事サービスの制限が不安
◎入所費用が高騰するなか、減免措置に資産の制限は不満。年金で入れる施設に。
◎ヘルパーの報酬を上げて、質の良い介護を。
◎地域包括センター創設には、保健師不足の実態がある。
◎保険料の地域格差を無くし、制度化へ。
◎市町村合併によるサービス基盤の不足。不便さで利用できなくなる。
◎増えていく認知症者に心のケアを。
◎新しい交付金制度には第三者の評価を盛りこみ、地域差をなくす。

分科会
W
いのち 看取りのとき  どう旅立ちたいか、どう見送りたいか
死を迎えるとき、過剰医療ではなくなるべく自然に。この願いに向けて、深く議論したい。
Co 馬庭恭子 訪問看護ステーション「ピース」・広島市議会議員
Pa 宮崎和加子 全国訪問看護事業協会理事
Pa 山崎章郎 聖ヨハネホスピスケア研究所所長・医師
Pa 大石睦子 広島ホスピスケアをすすめる会竹原支部
Pa 小堀恵美子 WABAS会員
Com 山口昇 公立みつぎ病院管理者・医師
 まず、家族の立場からの問いかけ。ホスピスはガン以外の高齢者を今後受け入れられるか。在宅での看取りや、「看取りの家」のシステム作り等、死をタブー視せず語り合いたい。
 「人生のしめくくりを住みなれた場所で」と町全体をホスピスにしたいとボランティアルームを立ち上げた大石さんの実践報告。
 訪問看護士の草分け的存在の宮崎さん。二百名近い方を在宅で見送ったが、忘れられない死が沢山あった。訪問看護は寝込まない為の手伝いをすること。独居の人でも在宅で生きて死ぬことが出来る仕組みを作ることと、「看取りの家」を作ることが今後の課題。
 山崎医師は今の医療制度の中でのホスピスの限界を十四年間の中で感じ、施設から地域に出て行く事にした、と。開設目前の「ケアタウン小平」の図入り解説あり。ホスピスでの経験がその理念と具体案の元になった。ガン以外の人も含めて、施設ホスピスを越えて地域の中で住み続けられる態勢を作って行く。(小堀恵美子)

分科会
Z
老いの自立は知恵しだい 新しい学び、はたらき、つながりのススメ
これからの高齢社会をのりきるには、しっかり、きっちり経済的自立!
Co 松井純子 ラーニングネットひろしま代表
Pa 天部テルミ

広島県の女性の地位向上と社会参画を
すすめる
運営委員長

Pa 袖井孝子 お茶ノ水女子大学客員教授
Pa 平田富美子 IWAD専門学校理事長・校長
Pa 横石知二 (株)いろどり 取締役
 最後まで元気に生きるためには、働き続けることが大切だ!というメッセージがたくさん詰まった分科会であった。

袖井孝子さん/明るく元気に過ごしている高齢者のイメージを若者に伝えることが、若者が希望を持つことにつながる。

天部テルミさん/国の制度を活かし仕組みを活用して、自分を活かせる場に出ていこう。高齢者の雇用を支援する制度もあるので、定年退職を第2の人生のスタートと考えて欲しい。

平田冨美子さん/人はチャレンジして痛い目にあいながらも成長する。チャレンジはいくつからでもできる。経済的に自立していることはとても大切で、自分を活き活きさせる秘訣だ。

横石知二さん/お年寄りもわかりやすく活用しやすい仕組みを用意し、その仕組みを利用して収入を得られるようにした。お年寄りが収入を持ち輝いていると若者が町に帰ってくる。

会場からも参加者自身の経験談がたくさん飛び出した。最後にコーディネーターの松井純子さんが、そのためにも学びとチャレンジは欠かせないと締めくくった。
(香川恭子)

分科会
U
「ひとり暮らし」を生き抜く力とは 「ひとり暮らし」を支える自分作り、地域作り、システム作り
介護の社会化で在宅での『ひとり暮らし』はどこまで可能になったのか?
Co 春日キスヨ 安田女子大学教授
Pa 黒田裕子 NPO[阪神高齢者・障害者支援ネットワーク]理事長・看護師
Pa 薬真寺満里子 広島市社会福祉協議会
Pa 吉沢久子 評論家
 大会直前に「二十年後は単独世帯三割」との厚労省推計が出た。奇しくも「独りを生き抜く力」をテーマに掲げた分科会は、その課題を先取りし一人暮らし社会への対策を提言する場となった。

〈一人暮らしの基礎は自己主張=自分作り〉もうすぐ八十八歳の吉沢さんは、自らの「老いじたく」を通して食への気遣い、人間関係の貯蓄、人様へ差し上げる能力を培う普段の暮らし方を提言。

〈最後の命綱を『公』は離すな=システム作り〉一人暮らしを最期まで支える社会的支援策を調べた結果、介護保険制度下の自治体の取り組みはピンからキリまで。緊急対応や医療との連携等『民』の力を有効につなぎ支える公的見守りシステムの必要性を指摘した。

〈一人暮らしの安心は「場づくり」「人づくり」=地域づくり〉自らの震災体験を通して「高齢者の閉じこもり予防には自己主張ネットワークをつくること」とNPOを立ち上げた黒田さんのパワフルな話は、参加者に「私も地域で何か出来る事を!」と夢を抱かせた。

まとめとして春日さんより孤独にならないような地域づくりや自分づくりを呼びかけ、三百名を越える参加者からは前向きに生きる元気をもらったとの声が聞けた。(薬真寺満里子)

分科会
X
施設のここが知りたい 施設の評価と実態を知って上手に利用する 
多様な施設は、それぞれ住まいとケアをどう保障しているのか検証します
Co 山内雅弥 中国新聞
Pa 横山輝代子 社会福祉法人〔あと会〕理事
Pa 竹中寛 グループホーム〔もちもちの木〕代表
Pa 周藤重夫 NPO[コンティゴしまね」事務局長
Pa 本間郁子 NPO〔特養ホームを良くする市民の会〕理事長
報告 村上敬子 呆け老人をかかえる家族の会広島県支部
 介護保険導入後、高齢者の住まいの一つである施設の利用は、「措置」から「選択」へと大きく変わった。

広島の特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人「あと会」理事の横山輝代子さんは、スウェーデンのコンタクトマン(担当者)制度を取り入れた個別ケアの状況を紹介。

広島でグループホームを開くNPO「もちもちの木」理事長の竹中寛さんは、おむつをはずすことなど「一番人間らしく暮らせるようにする」ケアの大切さを強調した。

 一方、
分科会
Y
人生の店じまい フィナーレは私らしく
選ぶ時代の葬儀・墓・遺言を考える
Co 桑田真弓 福山市会議員
Pa 井上治代 市民団体〔エンディングセンター〕代表
Pa 深江誠子 平安女学院大学教授
Pa 坂本圭子 農業
Pa 久保下多美子 NPO[西日本生活支援センター]
生前契約アシスタントアドバイザー
 今日は、遺される人のため自分のため、ゆっくりと人生のフィナーレについて語り合いましょうという語り掛けで第六分科会は始まった。

坂本 友人の好きな場所、好きな物で手作りの葬儀をした。まったりとした時間。人間関係は宝と思った。

深江 葬儀は今2〜3兆円市場の中にある。墓石は環境破壊、棺は地球温暖化の一因になる。樹木葬を紹介。

久保下 葬儀は必要最低限の法的手続きを含めた一連の中にあり、規定の物は無い。生前契約アドバイザーは逝く人の立場で捉える。

井上 慣習として墓は男系が守る永代システムだが法的根拠は無い。自分らしい生を閉じるためには学習し、自己決定して、自分の意思を書き記す必要がある。時には生前契約という法的手続も必要。各国葬送事情と桜葬を紹介。

 会場の中央に環境に優しい体験可の棺を置いて、客席から樹木葬、遺言、散骨などについて活発な質疑応答が交わされた。自分らしい生の閉じ方を考えることは、今の自分の生き方に深く繋がる。個として生き、個として逝きたいという意思を持つ人が在る。
(大隈省子)

女性政治家大集合
Co 樋口恵子 本会理事長・評論家
Pa 坂本由紀子 参議院議員・元厚生労働省局長
Pa 福島瑞穂 参議院議員・弁護士
Pa 木村民子 東京都区議会議員
Pa 広島県内をはじめ多くの地方議員が飛び入り参加

 大会2日目の9月11日、降ってわいた総選挙の投票日、午後1時から女性政治家大集合が開催されました。約1年半前から超多忙の女性国会議員の方々に日程の調整をお願いしていましたが、この選挙で一時は開催が危ぶまれました。

 でもこんなときだからこそ、心意気が買われます。社民党の福島瑞穂党首の「こんな所に来てていいの?」と樋口代表に言われながらの登場は、会場から熱い拍手が。でも結局、国会議員は自民党、坂本由紀子参議院議員(元厚労省局長)と二人。それではと、地元広島県の議員はもとより、会場の全国から参加された地方議員のみなさんにも壇上に上がってもらい、女性政治家大集合の面目躍如でした。

 まずもって、選挙戦のさなか参加していただいた国会議員の坂本さんから「どう女性たちが元気で生きてゆくかが大切。働く女性たちをどう支援するか、障害者、高齢者がどう自立して生きてゆくか、そのための社会保障制度を整えたい」とのメッセージ。福島さんからは「男性ばかりの党首討論からこの会場に来ると大勢の女性に癒されます。」から始まり、「廃案にはなったが障害者自立支援法案や介護保険のホテルコストの徴収など、応能負担から応益負担に移項している現状への危惧。憲法24条やジェンダーバッシング。災害弱者をどうするか。」の3点の問題提起がされました。

 続いて13人の女性地方議員が、一人1分ずつ自己紹介と自身選挙時のキャッチフレーズ、さらにそれぞれの出身地の女性議員数を披露しました。平成の大合併で議員数そのものも減っていますが、編入合併して地域代表を数人という時、やはり女性は出にくく、広島県でも83人から56人へと減っている現状です。

 このたびの総選挙では、刺客と称される女性候補が小泉さんによって数多く送り込まれました(?)。それを受け、確かに女性議員は増えて欲しい、では誰でも良いのかという、常に話題になるテーマについて討論されました。「女性も色々な人がいるわけで、いないよりいた方がよく、人口割合と同じだけ女性もいて、その中で意見を戦わせたらよい。」との坂本さんの意見。さらに「女性がいる場合、政策の優先順位が明確に変わる」という福島さんからの指摘は、地方議員を経験している身として、その通りだと思いました。ともあれ、自民党が26人もの女性議員を立てること自体大変革ですから、樋口代表が言われるように、彼女たちがこれから弱い者へのシンパシーを十分感じながら議会で力を発揮していかれるよう、私たちが見守ろうということで期待しています。
その後、これまた永遠のテーマ「どうしたら女性議員を増やせるか」について、東京都議の木村民子さんから「クォータ制」を取り入れた韓国議員情報のレポート発表。その後、フロアーの皆さんといっしょに大討論会を展開しました。

 その中で出た意見をまとめますと、まず勇気を持って立候補、そしてそれを支える人を増やす。地盤、看板、カバンのない女性たちゆえのネットワークの必要性、そしてもっと連帯を深める。女性自身の政治意識を変える。ということです。本当に言うは安し、行うは難しですが、少しずつでも輪を拡げて行こうと決意を新にしました。(桑田真弓)

閉会セレモニー
閉会宣言 樋口恵子 本会理事長・評論家
春日キスヨ 実行委員長・安田女子大学教授
馬庭恭子 実行委員長・地域専門看護師/広島市議会議員
御長壽写真展入賞者表彰 (こちら
大会アピール

 第1分科会 寸劇シンポ:女の老い・七つの大敵〜災害・犯罪から身を守る術を提案する

     独り暮らしなんか怖くない  友人・知人・ご近所を大切に

     きれいなバラにはとげがある  やさしい男にゃ毒がある。悪徳商法要注意

     自分を守る  自分の年金夫の年金をあてにしない生活設計を

 第2分科会 介護保険はどう変わったのか 〜利用者と働く人々、両方からの問直し

     介護保険で始まる地域システムの創造

     地域で守れ認知症の尊厳

     市民・利用者が主役の介護保険

 第3分科会 「独り」を生き抜く力〜「独り暮らし」を支える自分作り、地域作り、システム作り

     一人暮らしの基礎は自己主張

     一人暮らしの安心は「場作り」「人づくり」

     最後の命綱を「公」は離すな

 第4分科会 いのち 看取りの時〜どう旅立ちたいか どう見送りたいか

     みんなの力で安心の看取り

     看取りは「自立決定」の力

     看取りのしくみ人づくり

 第5分科会 施設のここが知りたい〜施設の評価と実態を知って上手に利用する

     施設を選ぶための情報の提案を。

     利用者や家族が言いやすい施設に

     利用者がわかりやすい施設サービスを

 第6分科会 人生の店じまい〜フィナーレは私らしく

     自分らしく生き、自分らしく生を閉じる  葬儀の自己決定を

     「家中心」の墓はもう結構  血縁より結縁の新たな墓を

     「風」になりたい人「無」になりたい人をサポートしていくシステムを

 第7分科会 老いの自立は知恵しだい〜新しい学び、はたらき、つながりのススメ

     自分を活かし地域を活かして仕事の創造

     自分の基本は自分が自分であること

     これがなければ仕事はできぬ  納得したことを自分でやる


 まず今回、広島の町を飾った「御長壽写真展」の最優秀と優秀賞の表彰。
 続いて7分科会、それぞれのアピール3点ずつを、関わった実行委員が垂れ幕を持って登壇し発表しました。次に全員で樋口代表作詞の替え歌「手のひらを太陽に」を大合唱。
ところでこの種の全国大会、魅力ある分科会が同時に開催されるのが欠点。みなさん孫悟空になりたいと思われたでしょう。そこで少しでも埋め合わせをと、午前中の分科会の様子はITを駆使して、午後の全体会に間に合うよう速報を出しました。
(桑田真弓)