映画会のご案内

 記念講演の演者市原悦子さん初めての主役の映画、「わらびのこう」が本大会と連動してシネツインで9月3日から16日まで上映されました。

わらびのこう(蕨野行)






《あらすじ》
   詳細は http://www.genfukei.or.jp/warabi/

 このところ、姑のレン(市原悦子)がどうも様子がおかしい。嫁のヌイ(清水美那)にはそれが気がかりだった。
 おババよい。何か思うことが有りつるか?
 ヌイよい。おれは関所のまえに立ちてありつる。
 レンの答えは思いもよらぬものだった。その村には秘したる約定があった。六十の齢を迎えた者は家を出て、人里離れた原野(蕨野)に移り住むというのだ。そこには食料がなく、作物を植えることも許されず、ジジババたちは里へ下って村々の仕事を手伝うことでのみ、その日の糧を得る。一日怠れば一日飢えるのである。
それでは乞食と同じではないかと哀れむヌイに、レンは言う。数年に一度くる凶作はどのようにしても免れず、となれば若い者たちの糧を確保するため、身体の弱い年寄りは早々に逝かしめようという昔からの知恵なのだと。
 だがレンにはひとつだけ、心のこりがあった。嫁いで間もないヌイに、庄屋の嫁としての務めの数々を十分授けることができなかったことだ。ヌイよい。おめのことを思うによりて、ババは後ろ髪を引かれたり。秋の終わりまで生きのびた者は里へ帰ることを許される……と、レンはヌイに告げた。
 蕨野。そこはこの世とあの世の中継地である。この年、蕨野入りしたジジババは八人。レンのほかには、馬吉その生きざまを、その死にざまを、四季の移ろいのなかで綴っていく。
 レンとヌイは、心のなかで語り合う。おババよい。男というものは、おれにはまだ少々恐ろしき心地せる。夫よりもなお姑のおめのほうが慕わしかるよい。ヌイよい。やがてババより慕わしというときが参るなり。男こそよきものと思うよになりつらん。
 その夏、レンの予見どおり、雨のつづく冷たい夏となった。秋は必定、凶作は詮なし。レンは心のなかでヌイに告げる。ヌイよい。まことは、蕨野に帰りの道はなきなりよ。




 実行委員会では、プレイベントとしてフランス映画「夕映えの道」を上映しました。高齢期を一人で生きることの意味を2人の女性の関係を通して描いており、地味ながらじわっと暖かいと評判の高い映画です。たくさんの皆様にご鑑賞いただきました。どうもありがとうございました。

夕映えの道

《あらすじ》
   詳細は http://kadokawa-pictures.com/yuubae/

 パリの下町の街角にひっそりと孤独に暮らす老女がいた。会社を経営している独身の中年女性イザベルは、偶然に出会ったこの老女マドをなぜか放っておくことができない。マドは自分の生活に他人が干渉することを極端に嫌っていたが,あくまで友人として振舞うイザベルには,徐々に心を開くようになる。そしてイザベルもマドと接するうちに,まだ遠いと思っていた“老い”の厳しい現実を知るようになる。
 ある日、マドはイザベルに自分の生い立ちを語った。マドの人生は,悲しみと絶望の連続だった。そんな中でも楽しかった若い日の思い出を生き生きと語るマドの話に耳を傾けるうち、イザベルは不思議な安らぎを感じるようになる・・・。


《上映実施日程》
広島市 福山市 熊野町
4月16日(土) 4月23日(土) 5月14日(土)
時刻 10時・14時・18時 13時30分 13時30分
場所 平和資料館メモリアルホール 県民文化ホールふくやま 熊野町民会館
金額 999円 999円 999円